毎日、お仏壇に手を合わせ、お経を読んで来られたS様。
この日のお勤めでは、一緒にお経を読んでいただきました。
日々お勤めされているだけあって、そのお声はお坊さん顔負。
S様にとって、お仏壇の前で手を合わせ、お経を読む時間は、先立たれた奥様とのつながりを感じられる大切な時間なのだと思います。
毎日手を合わせ、お経を読みながら奥様を想う。
そのお姿から今も変わらない奥様への深い愛情が伝わってきました。
奥様は今もS様のすぐそばにいらして、これからもお二人で人生を歩んでいかれるのだろうと感じた、お盆の法要でした。
この日は、ご家族が集まり、ご先祖様を偲びながら一緒に手を合わせました。
ご先祖様を「おかえりなさい」と迎えるお盆は、ご先祖様を通して、おかげさまで生かされている自分自身のいのちをお知らせいただくご縁でもあります。
こうしてご家族が集まり、手を合わせ、仏教に出会い、それぞれが自分自身のいのちを見つめること。
そして、これからの人生をしっかりと歩んでいくこと。
それが、ご先祖様にとって何よりのご供養なのだと思います。

社交ダンスや船旅、水泳など、人生を楽しまれた故人様。
思い出のドレスも、ご家族の手でお棺へ納められました。
お化粧は娘様の手で。
枕元には、故人様が大好きだった色のお花を。
「私の自慢の叔母でした。」
ご親戚の方が、そう話してくださったことも、とても印象に残っています。
住み慣れたご自宅で、娘様に看取られ、旅立たれた故人様。
たくさんの笑顔と思い出とともに、ご出棺なさいました。
「ありがとうございました、また会おうね。」
娘様のその一言には、寂しさだけでなく、たくさんの感謝と、また会えるという願いが込められていました。
休みの日は、ほとんどご自宅の庭いじりをして過ごされていたという故人様。
丹精込めて手入れをされていた、ご自慢のお庭があるご自宅でのお見送りとなりました。
「最期まで頑張ったね。」
ご家族皆さまが感謝の言葉を伝えられたあと、故人様は、長年大切にされてきたお庭を通って、ご自宅を出発されました。
たくさんの思い出が詰まったご自宅から旅立たれた、あたたかな一日葬でした。
大切な人を見送って迎える、初めての夏。
「おかえりなさい。」
そんな想いを込めて、ご家族皆さまで故人様をお迎えし、初盆法要を執り行いました。
思い出を語り合いながら手を合わせる時間は、故人様とのつながりをあらためて感じる、かけがえのないひとときとなりました。

たくさんの美味しい食事を作ってくださった故人様。
ご家族は、
「どれも本当に美味しかった」
と、懐かしそうに思い出を話してくださいました。
「また、たくさんお料理してくださいね。」
その言葉とともに、ご愛用されていた料理本をお棺に納められました。


お母さんとして
おばあちゃんとして
ひいおばあちゃんとして。
たくさんの愛情を届けてくれた人生。
最後のお別れは、住み慣れたご自宅で。
「お疲れ様。」
ご家族皆さまで湯灌を行い、お気に入りのお着物にお召替えいただきました。
お化粧は、娘様とお孫様の手で。
優しく頬に触れ、おばあちゃんとの思い出を辿りながら。
大切にされていたお謡の道具とともに、
お棺いっぱいに、ありがとう。
思い出を語り合いながら、笑顔も、涙もあふれる、
あたたかな家族葬となりました。
おばあさまの三十三回忌とお彼岸の法要。
ご生前、おばあさまが作られていたおはぎは絶品だったそうです。お亡くなりになられる前に、なんとかその作り方を教わることが出来てよかったと、娘さまは仰っておられました。
おばあさま直伝のおはぎをお供えし、「今年の出来はどうですか?」と優しく語りかける娘さまのお姿がありました。
受け継がれた味とともに、これからも続いていくお供養のかたち。
そんな想いを感じる法要でした。
お父様の三回忌。
ご生前お父様が大切な家族の一員として可愛がっておられた愛犬も参列しての法要となりました。
だれが呼んだのでもなく、自然にお仏壇の前に座り込む愛犬の姿に、皆さま思わず笑みがこぼれ、「家族やけんね」と、やさしい声も聞かれました。
ペットも大切な家族。
ともに過ごしてきた時間が、今もこうしてつながっていることを感じる法要となりました。
奥様を見送られてからの1年。S様は、ご葬儀・四十九日・初盆と、一つひとつの法要を大切にされてきました。
当初は言葉も少なく、ただ奥様を想う時間が流れていましたが、初盆のころには奥様との思い出話をなさる場面も増えていきました。
そして一周忌。
「寂しさは変わらんけど、思い出を穏やかに振り返れるようになりました」と、静かに話されるS様のお姿が印象的でした。
法要を重ねる中で、故人とのつながりのかたちが少しずつ変わっていく。
そんな一年でした。

